キャロットケーキとは?

こんにちは。紅茶専門店ティークラブの堀内芳昌です。
ここ2~3年でキャロットケーキをたくさん作りました。ベーシック寄りのものから思い付きのアレンジまでさまざまなレシピで作ってみました。創作ばかりしていてもキリがないので、そろそろ一旦まとめてみようと思っています。
そこで、レシピをまとめる前に「“私にとって” のキャロットケーキや一般的なキャロットケーキと少し違う作り方をしている理由」などをお話します。
キャロットケーキとは?
一般的なキャロットケーキは以下の通りです。
キャロットケーキ (Carrot cake) は、生地にすりつぶしたニンジンを混ぜたケーキである。ニンジンを混ぜることによって、材料が柔らかくなり、出来上がったケーキも柔らかく濃密な食感になる。ニンジンそのものの風味、食感、見た目も付加される。
その名前によらず、キャロットケーキの製造工程(卵や砂糖等の湿った材料を全て混ぜ、乾いた材料も別に全て混ぜ、湿った材料を乾いた材料と混ぜる)や出来上がったものの堅さ(通常、ケーキより密度が大きく、パンよりも荒い)はクイックブレッドにより近い。
出典:出典: 『ウィキペディア(Wikipedia)』
堀内にとってのキャロットケーキ
私にとってのキャロットケーキも上記のものと大差はありませんが、少しケーキに寄っています。バターを使わない甘さ控えめな素朴なケーキ。そして、スパイスと副材料(ナッツやドライフルーツなど)のケーキだと思っています。
たっぷりとニンジンを入れますが「ニンジンの風味は弱い」と思っているんですよね。
Wikipediaの説明文には「ニンジンそのものの風味、食感、見た目も付加される」とありますが、ニンジンの風味(味)は目立たない。ニンジンが入っているのは分かりますが、風味(味)は弱いと思っています。もしかすると西洋のニンジンに比べ日本のニンジンは風味が弱いのかもしれません。
ちなみに、卵、油脂、砂糖、小麦粉にニンジンだけでキャロットケーキをつくったことがありますが、それでもニンジンの味は目立ちません。しっとりしたジューシーなスポンジケーキのようです。卵、油脂、砂糖、小麦粉+ニンジン・スパイスで作ったキャロットケーキは、スパイスケーキでした。
私が作るキャロットケーキは、ニンジンを材料名の中で一番たくさん入れますが、味の面ではニンジンは目立たないでスパイスやドライフルーツが目立ちます。ニンジンは食感としっとり感ジューシーさ(水分)に影響を及ぼすと考えています。
繰り返しますが、スパイスと副材料(ナッツやドライフルーツなど)が目立つケーキだと思っています。
キャロットケーキは紅茶と食べるもの
私にとってキャロットケーキは、絶対的に紅茶と一緒に食べるものです。
コーヒーや他の飲み物は合わせないですね。なので、自分で作る時は、どっしりし過ぎない食感とケミカルを感じない風味を目指しています。スパイスやドライフルーツは紅茶とよく合います。ストレートティーにもミルクティーにも合わせます。
好きなキャロットケーキ
自分で作る時はやや素朴な感じでフロスティングもしないことが多いのですが、カフェで食べる時はちょっと違っています。どっしりしたものや具材がたくさん入ったもの、フロスティングがしっかりのった風味豊かなキャロットケーキが好きです。
キャロットケーキを扱っているお店が少ないので、それほど多くを食べたわけではありませんが、印象に残っているのはローズベーカリー。キャロットケーキでは最も有名かもしれないので、ご存知の方も多いと思います。色が濃く、ややネチッとした水分や油分が多そうな食感ですね。
最も好きな味で何度も食べたいと思うのは、satito’s tableworksのキャロットケーキ。重すぎず軽すぎず、具材やフロスティングのバランスがよく紅茶にとても合う味わい。お店の紅茶も美味しく雰囲気も素敵です。そうはいっても、近くにないため食べられるのは数年に一度。折角行っても、行列で入れなかったり、売り切れていたりする。だからこそ、余計に食べに行きたいのです。
2店舗ともに同じようなケーキを作りたいというよりも食べに行きたい存在です。そうはいっても、最後に伺ってから3~4年以上経っている…。多少変わっている可能性もありますね。
堀内流キャロットケーキの特徴
私が作るキャロットケーキ最大の特徴は「卵を泡立てる」こと。そしてニンジンなどの具材をたっぷり入れることです。
他では見かけない作り方ではないでしょうか。卵を泡立てた生地にたっぷりの具材を入れるのですから、上級者むきというほどではありませんが、やや難易度は高いかもしれませんね。
実は、卵の泡立てさえできれば、作りやすいというか、作業性はいいのです。一般的なキャロットケーキは、粉類を混ぜると生地がボテッとしてやや扱いにくくなりますが、卵、砂糖、オイルが混ざった生地はふんわりとしているため扱いやすいです。
作業は難しくないけど、卵の泡立てや生地の扱いなどには慣れが必要なので、何度か作ってコツを掴まないとうまくいかないかもしれません。ケーキ作りに自信のない人にはおすすめしにくいレシピですね。簡単に作りたければ一般的なキャロットケーキのレシがおすすめです。
卵を泡立てる理由
- 重曹を使わずにすむ
- 作るのが楽しい
重曹を使わずにすむ
卵を泡立ててキャロットケーキを作っている理由は、ベーキングパウダーと重曹のケミカル感を減らして生地を膨らませたいからです。私の場合、重曹はキャロットケーキ以外には使わないので、使わないですめばこしたことはないというのもあります。
勘違いしないでくださいね。ベーキングパウダーと重曹が悪いといっているのではありませんよ。ベーキングパウダーと重曹を使っているであろうお店のキャロットケーキを美味しいと思って食べていますからね。
自分で作る時はなければいいなぁという感じです。
とはいえ、キャロットケーキの独特の食感や風味には、ベーキングパウダーと重曹のダブル使いが関係してるはずです。なので、この2つを使わない減らしたいと考えれば、おのずと少し違ったキャロットケーキになってしまいます。分かったうえでやっているのです。
作るのが楽しい
卵を泡立てて、オイルを乳化させるケーキ作りが、なぜだか好きなのです。
キャロットケーキをはじめてとして、バナナケーキやジンジャーケーキなど使いますが、なんだか楽しい。個人的に気に入っている。それだけでのことです。
キャロットケーキのレシピまとめ
個別のレシピもいくつか紹介しますが、大雑把にキャロットケーキのレシピを紹介します。すべてのベースになっているものです。
キャロットケーキの材料
- 全卵・・・2個(100~110gくらい)
- 砂糖(甜菜糖、きび砂糖、黒糖)・・・80~100g
- グレープシードオイル・・・80~100g
- ニンジン・・・正味200~260gくらい
- 副材料(ドライフルーツ、ナッツなど)・・・ニンジンと合わせ300g以内
- 薄力粉(ドルチェ)・・・65~75g
- 強力粉(はるゆたかブレンド)・・・65~75g
- ベーキングパウダー(アルミフリー)・・・3~4g
- スパイスパウダー・・・小さじ1~小さじ1・1/2
- ニンジン
- ニンジンの分量は全卵の2倍くらい、粉類の1.5倍くらいが目安
- 柔らかいニンジンがむく
- 副材料
- 副材料はナッツのように軽く水分が少ないものがむく。戻したドライフルーツ、ジャムやペースト。生の果物は扱いにくい
- 水分が少なく軽いものならニンジンと合わせて300gくらいまで大丈夫。卵の3倍弱、粉類の2倍程度まで
- ジャムやペーストなど水分が多いものやイチジクなど重みのあるものの場合は、ニンジンと合わせて240~250g(卵の2倍強)くらいまでにしたほうが無難
- リンゴやバナナなど生の果物を加える場合は、ニンジンと合わせて200~220g(卵の2倍)程度にしたほうが無難
- 粉類
- 副材料が多い、水分量がある場合は粉多め
- 砂糖、オイル
- 砂糖、オイルの分量とバランスは、副材料によってかえる
フロスティング・アイシング
キャロットケーキにはチーズフロスティングが一般的ですが、シュガーアイシングも悪くないと思っています。乳製品不使用で仕上げたければ、シュガーアイシングか粉糖をふればよいのですが、乳製品不使用にしたというこだわりはありません。
フロスティングやアイシングは自分で食べる時はつけないことが多いのですが、お客様に出す時は必ずといっていいくらいにつけます。フロスティングやアイシングをつけたほうが断然グレードアップしますからね。お客様に出す時はつけるのです。
卵の泡立て方
私の作るキャロットケーキ一番の特徴といえる卵の泡立て。2パターンあります。
- ハンドミキサーで泡立てる。しっかり泡立てる
- 手で泡立てる(混ぜる)。ゆるく泡立てる
ハンドミキサーで泡立てる
ハンドミキサーで生地がハッキリとしたリボン状に落ちるくらいにしっかりと泡立てる。
- メリット
- 手が疲れない(ハンドミクサーを使うから)
作業に慣れると作業性がよい
卵の気泡で膨らませるためベーキングパウダーが少なめでもふんわりとし、しっとりジューシーなスポンジの食感になる
- デメリット
- 泡立てに時間がかかる
混ぜ方を誤ると膨らみが弱かったり、焼き縮みが大きくなったりする
時間が経つと外側がパサつきやすい
手で泡立てる(混ぜる)
卵と砂糖を泡だて器でしっかり混ぜる。オイルを少しずつ加えもったりするくらいまで混ぜる(少しふんわりするくらいまで泡立てる)。
- メリット
- 短時間でできる
混ぜる技術がいらない
ハンドミキサーを使わない
しっとりしてパサつきにくい。もっちりして重たい食感
- デメリット
- 手が疲れる
ベーキングパウダーが少し多めに必要、または重曹を併用する
ふんわりは弱い。もっちりして重め
作る楽しさが弱い(個人的に)
ほとんどの場合「1」のハンドミキサーで泡立てる方法で作ります。たまに気がむいたら「2」で作るという感じですね。混ぜるだけの作り方は、キャロットケーキに関してはあまり好きではありません。
私が作るキャロットケーキは、大枠ではこんな感じです。今後は、個別のレシピでいくつかのキャロットケーキを紹介しますね。
最後に…
お菓子は細かい計量が必要なのか?
「お菓子は細かい計量が必要」といわることが多いです。それは正しくもあり、そーでもないともいえます。
もちろん正しい計量をしたほうがよいに決まっていますが、そこそこアバウトでもそれなりにできるからです。
私のお菓子作りはデジタル秤で計量していますが、配合そのものは意外とザックリです。なるべく具材をたくさん入れたいとか、甘さは控えめにしたいなどと考えながら作っています。正直、失敗気味になることもありますが、そこそこできるものです。
家庭菓子はアバウトな計量でもOK
家庭で作るお菓子は、バターや卵が100g前後のレシピが多いと思います。そのようなレシピであれば、バターや卵や他の材料が10~20g違ったところで、正しく作っていれば、食べられないようなものにはなりません。
そもそも、卵って結構分量が違いますからね。卵を計量しない時点でアバウトですよ。
とはいえ、砂糖100gのレシピで砂糖が50gになったり150gになったら美味しいお菓子を作るのは難しいでしょう。卵2個もレシピを卵1個で作ったら難しいでしょう。
やっぱりお菓子は正しい計量が必要なんじゃないの?と思ったかもしれませんが、例えば「肉じゃが」を作ったとしましょう。醬油や砂糖の量がレシピの半分になったり、倍入れてしまったら、食べられるか心配ではありませんか?
料理でもお菓子でも、多少の違いは何とかなるし、味は好みの差くらいだったりすることも多い。大きく違ったら美味しくないのは、料理でもお菓子でも同じです。
レシピや配合や計量も大事ですが、家庭菓子はもっとザックリでいいと思います。
作ることに疲れてしまっては本末転倒です。気軽に作ったそれなりのできのお菓子でも美味しい紅茶と一緒に食べれば、素敵なティータイムになったりするものです。
ホッと一息のティータイムを過ごすことが目的のはずですから、自分が楽しいと思うお菓子作りを楽しましょう。
それでは、また。